まぁ全部王子の創作なんだけどね！！

とは言えこのお話もよく出来てますよね～。人間（中身は宇宙人）が人間を食べるというホラー、捕食者（殺人犯）を探す過程はサスペンス、捕食者の葛藤は学園ドラマと、上手いこと色々な要素が混ざってます。

それに今回の話は雰囲気がとても良かったです。暗めの色調に昭和を思わせるような学校風景は、学校の怪談を連想させるような怖さがありました。携帯電話が出てきたのには、ちょっと吹いてしまったけど。

今回の宇宙人当番は、恋愛感情がそのまま捕食欲求に繋がってしまう宇宙人。もう父子３人しか残っていないこの宇宙人一家は、弟は同じクラスの好きな女の子に食欲が芽生えてしまうことに怯え、兄はその食欲に抵抗出来ずに最後は捕食してしまうという、悲劇的な結末を迎えてしまいます。父親は今どこに。

ただ、ろくに葛藤もせずに他の生物を食べる地球人にしても、他の生物からは異常に映るのかもしれません。好きな相手を殺してしまうという意味では、現代の社会的な問題をも浮き彫りにした、とても深遠なテーマを題材にしていて・・・とか言ってたらこのオチだよ！ほんと嫌になるよ！でもちょっと気持ちいい！！

でもこれだけ王子がアレなオチの話が続くと、実は全話の裏で進行してるエピソードがありそうな気がしてきます。「王子は実は善人」なんてことでは無いだろうけど、何か別の目的はあってもおかしくないですな。

レベルＥ（上） (集英社文庫―コミック版) (2010/09/17) 冨樫 義博 商品詳細を見る