とても綺麗な最終回でした。原作はまだ続いてて、アニメの落としどころは難しかったと思うけど、とてもとても幸せな結末でした。強制的な契約から幸せな契約へ。あぁ、少女漫画最高だ。

いなくなった奈々生を探しまわる巴衛と瑞希。うーん、こうなっちゃうなら、やっぱり奈々生が逃げちゃったのはマズかったですね。ミカゲが登場して無双するのかなと思ってたけど、考えてみれば、最終話で主軸を奈々生から移しちゃうのはマズいよね、なんて余計なことを考えてみる。

でも、自分の居場所を守るのは自分しかいないんだと、奈々生が自分で気付いたのが良かったです。だいたい、文句の多い私が奈々生は大好きな主人公と言えるのは、間違えても逃げ出しても、自分の行動を反省して、失敗を取り戻そうと走り出せる主人公からなのですよね。

女の子としても魅力的だけど、一家の主としても魅力的。前回から繋がるこのお話は、奈々生が神様として認められるための、最後の試練。こっちまで見守りたい心境にさせてくれます。

巴衛に頼られなかったことがショックで逃げ出した奈々生が気付いたこと。居場所がない奈々生にミカゲが家を与えてくれたこと。最初は冷たかった巴衛が、奈々生の頑張りを認めて、笑顔を見せてくれるようになったこと。自分が企画した祭りを、楽しみにしてくれる人達がいたこと。

この辺の思考はすごく分かる気がしました。頭の中はその人でいっぱい。でもなかなか見てもらえない、認めてもらえない。頑張ってるつもりなのに、自分だけが空回りしてるようで。それでも身体を動かしてるときは忘れられるけど、横になって天井を見上げたとき、ふと考えてしまう。

でも、巴衛だけではなくて、喜んでほしいと思える人々を知ったときの、パワーみなぎってきたー！！感が、とても微笑ましくて、なんだか泣けてしまって。自分しかいない世界から、自分と巴衛のいる世界へ。そして自分と巴衛と家族と、土地神として愛すべき人々のいる世界へ。

神様としての成長だけじゃなくて、人間的にも成長していく奈々生の姿が頼もしくて、とても嬉しくなりました。完全に娘目線である。そんな奈々生の土蜘蛛払いの舞に、見惚れないわけがない。瘴気に侵された虎徹をためらいなく抱きしめたときの主人公力。神様はじまってました。

もう土蜘蛛退治だけで最高だったのですけども。お祭り当日に、今まで知り合ってきた人間やら神様やらが遊びに来るのもいいですよね。妖とも人とも絆を交わせる奈々生だからこその縁。

祭の最後を飾る奈々生の舞。そんな奈々生を見守る巴衛。一目瞭然な表情をさらす巴衛の横を、いくつかの蝶に姿に変えたミカゲが掠めて、そのミカゲの気配に巴衛は優しく微笑む。

この一瞬の場面もすごく良かったです。応えてくれない苦しい想いから、巴衛はもう開放されていて、そんな巴衛の成長を見てきたからこそ、ミカゲも巴衛に寄りそうことが出来たようで。しみじみ胸に染みる巴衛の表情と、”蝶”として姿を表すミカゲの想いに、よい酒が飲めそうです。

最後は２人の再契約。人間だけど、神様でもあることを認めて初めて、奈々生を奈々生として見れたってのが、なんともじれったい。でも、最後の最後に、契約というにはあまりにも優しくて、時間が止まりそうなキスを見せてくれました。幸せそうな奈々生で終われる、幸せエンドです。

スタッフ、キャストの皆様、本当にお疲れ様でした。シリアスとギャグのバランスが丁度よくて、毎回楽しく見れました。素敵な最終回をありがとう。製作陣に愛されてる作品は幸せですね。